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論文・著書情報


タイトル
和文:大環状アルカンジスルフィドのケミカルライブラリーの構築 
英文: 
著者
和文: 多田幸海.  
英文: yukihiro tada.  
言語 Japanese 
掲載誌/書名
和文: 
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巻, 号, ページ        
出版年月 2011年3月 
出版者
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会議名称
和文:関東高分子若手研究会 2010年度論文発表会 
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開催地
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アブストラクト 大環状分子は、クラウンエーテルなどに代表されるような分子ふるいや環状配位子といった環構造由来の特異な性質を有していること、また分子同士が非共有結合により絡み合ったカテナンやロタキサンを形成することで共有結合分子にはない特異な物性を発現することから、近年注目を集めている。これら超分子の合成手法として可逆的な共有結合が注目を集めている。本研究では、両末端にチオール基を有する直鎖状分子に対して酸化反応とジスルフィド交換反応を行い種々の環サイズを有する環状アルカンジスルフィドの合成を検討した。まず炭素数10のジチオールをブロモワング樹脂とトルエン中で塩基として 1,8-ジアザビシクロ-[5,4,0]-ウンデカ-7-エン (DBU) を用いて縮合した。続いてその樹脂に対し塩化メチレン中 0 oC で N-クロロスクシンイミド (NCS) とジメチルスルフィドの錯体を作用させ環化・脱離反応を行った。生成物の 1H NMR スペクトルからジスルフィド結合の形成を確認した。SEC 測定を行ったところ、高分子量体の生成が見られた。また単量体は存在していなかった。これは生成した環状アルカンジスルフィドの十二員環は環サイズが小さいために、ジスルフィド結合が開裂して多量体が生成したと考えられる。そこでより長鎖の炭素鎖20のジチオールを用いて同様の反応を行った。SEC測定の結果、高分子量体の生成を確認した。また炭素鎖10の場合と異なり単量体が存在していた。これらの結果は、本反応系による大環状ジスルフィドの合成では、環ひずみ以外にもジスルフィド結合が開裂する原因が存在していることを示唆している。一方、分離した炭素数 10 の環状アルカンジスルフィドの二量体を、ヘキサンに溶解後 -25 oC に冷却することで単結晶が得られた。X 線構造解析の結果、環構造であるにもかかわらず結晶中では細長く伸びた構造をとっていることが分かった。

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