本研究の目的は,階層的な都市システムが形成されるメカニズムを明らかにすることである.具体的には,立地変更に伴う費用(relocation cost)が都市システムの産業立地パターンを階層化させることを示す.この目的を達成するために,Pflüger1)による1産業Core-Periphery(CP)モデルを多産業の枠組みに拡張し,産業毎に異なるrelocation costを導入する.そして,Akamatsu et al.2),Ikeda et al.3)により提案された解析的・数値的アプローチを応用することで,多産業CPモデルの分岐特性を明らかにする.その結果,階層的な産業立地パターンが安定的な均衡状態として創発することが示される.